「子供へのコーチングと言葉がけ」 子供へのタッチング等の研究の第一人者、桜美林大学教授 山口 創氏コラム

こんにちは!キッズ&ジュニアスポーツコンディショニング協会
理事の名倉です。

協会の顧問、桜美林大学教授・臨床発達心理士、
子どもに触れることの影響や、
タッチングの質についての研究の第一人者、
山口 創教授より、コラムの執筆を頂いております。

スポーツを頑張るお子さまとの関わり方について
ぜひ参考にしてくださいね。

■コーチング

「䆦啄同時(そったくどうじ)」という言葉があります。

広辞苑によると、䆦啄の「䆦」は鶏の卵がかえる時、殻の中で雛がつつく音、
「啄」は母鶏が殻を噛み破ることをいいます。

そこで䆦啄同時というのは、
禅宗で師家と弟子のはらたきが合致することとを指すそうです。

雛鳥が卵から孵る時、雛は内側から卵の殻をくちばしでつつき、
親鳥も同時に同じ所を外からつつくので、
見事に殻が割れて雛が誕生するのです。

これをスポーツのコーチング場面に置き替えると、
雛鳥は競技をする子どもで、親鳥は子どもを取り巻く大人たちです。
子どもが競技力の向上に留まらず、人として成長したいと想い、
自ら動き出したときに、それをそっとサポートすることがコーチングです。

コーチングではあくまで主体は子どもで、子ども自身が動き出すのを待ち、
子どもが動き始めたら、サポートします。
子どもを見守っていて、解決できなさそうな時、
または、あと少しでできそうな時に助言します。
コーチングでは、助言すること自体がコーチングの成果なのではなく、
助言したことで、子どもがその問題を解決でき、
いかに向上したかが、コーチングの成果となるのです。

 

コーチングのような保護者と子どもの接し方は、これまで軽視されてきました。
しかし子どもたちと一緒にいる時間が長い保護者と子どもとのチームワークはとても重要です。

コーチだけでなく、保護者のように、子どもにコーチングする立場の人は、
自分の置かれている立場を正しく理解して、
その立場として振る舞わないと、正しい指導ができないとされています。
そこで、教える立場の人は「教師」、「コーチ」、「ファジリテーター」、「メンター」の
四つの役割を背負って(それぞれの帽子をかぶって)使い分ける必要があるのです。

「教師」

「教師」という役割を背負う時は、教える立場なので教育をすることになります。
そのため、「こういう風にやって」と子どもに教える立場になります。
ただし、いつも教師の立場でいればいいというわけではなく、違う立場も必要になります。

「ファジリテーター」

「ファジリテーター」というのは、一歩引いて選手がやろうとすることをサポートます。
子どもの性格や物事の考え方は様々なので、
教師的な立場で教えた方がうまく学べる子どももいれば、
ファジリテーター役になってあげた方が子どもの才能を引き伸ばせることもあります。

「コーチ」

「コーチ」の役割というのは、
自分はすでにいい答えを持っているけれども、
それがうまく出でこないような場合です
。そのような子どもには、こちらが良い質問をしてあげて、
その答えを引き出してあげるようなことも必要です。

「メンター」

そして、経験豊富な選手で、ある程度自分の考え方が確立している子どもや、
その中で少し不安がある場合などは、「メンター」という立場がよいでしょう。
これも一歩引いて、その子どもがぶつかっている課題について、
ヒントをあげながら解決に導いていくというような、一歩引いた形での役割が必要となります。

 

■子どもへの言葉がけ

上記のいずれの立場で子どもと接する場合でも、
共通する接し方や言葉がけというのがあります。
それは子どもの勉強にも、合唱部などの文化部の活動でも共通するもので、
心理学ではよく知られているやり方です。
子どもは言葉がけ次第で、やる気を出したり、落ち込んだりするので、
特に試合に負けたときなどに気を付けてほしいものです。

 

①試合に負けた時、正しい接し方

せっかくのチャンスにシュートを外すなど、
本人のミスが目立って試合に負けてしまうこともあるでしょう。
子どもに文句を言いたい方も多いと思います。
例えば「大事な場面で外してしまったら駄目じゃないか」
「試合に勝てなくて皆に申し訳ない」などと
言ってしまうこともあるのではないでしょうか。

子どもを励ましているからいいだろうと考える方もいるでしょう。
しかし、「駄目じゃないか」「試合に負けた」と、ネガティブな話題ばかりするのはよくありません。
ミスをしたり、試合に負けたりして、本人も反省しているところに、
保護者から、「どうして」、「なぜ」とネガティブに追求されると、
子どもは居場所がなくなってしまいます。

「負けたけど、この時のプレーはよかったね。」
「チームとしても力はついているから、次はもっと頑張れる。」
そういったプラス思考やポジティブな話題を見つけながら、
今後について話し合ってほしいです。

 

②結果を重視すると、成長しない

また「結果」だけで子どもを評価してはいけません。
試合で勝ったり負けたり、プレーが成功したり失敗したりといった経験を繰り返す中で、
子どもは学び成長します。
結果にこだわることはプレッシャーを与え、
失敗から学ぶことを妨げるようになります。
結果よりも、本人の努力を認めるべきなのです。

 

たとえ結果は負けてしまったとしても、
「ふだんの練習どおりに、ちゃんとパスができたね」
「練習のおかげで、落ち着いて周囲が見えていたね」というように、
ポジティブな努力を評価すると、
「ほめられた→うれしい→もっと努力しよう」というように、
本人の成長を促すサイクルにつながっていきます。
試合に負けた日こそ、「努力をほめる」ことが大切なのです。

試合に負けた時は、
「今日の負けは相手の努力が勝っていたからだよ。もっと努力しよう」と、
次に向けた立ち直りができるはずです。
スポーツばかりでなく、勉強でもなんでも、
努力をほめる家庭の子どもは大きく成長することができるのです。

 

 

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子供へのタッチング等の研究の第一人者、桜美林大学教授 山口 創氏の、スポーツのメンタルへの影響についてコラムの連載が始まります。

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山口 創

この記事を書いた人: 山口 創

桜美林大学教授 1967年生まれ。早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。専攻は、健康心理学・身体心理学。聖徳大学人文学部講師を経て、現在は桜美林大学教授。臨床発達心理士。 子どもに触れることの影響や、タッチングの質についての研究の第一人者。2016年よりKJ協会顧問

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