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「親にも子供にもとても良い影響をもたらす物質、オキシトシン!  その効果と増やし方」 

2019年6月23日

こんにちは!キッズ&ジュニアスポーツコンディショニング協会
理事の名倉です。

協会の顧問、桜美林大学教授・臨床発達心理士、
子どもに触れることの影響や、
タッチングの質についての研究の第一人者、
山口 創教授より、コラムの執筆を頂いております。

スポーツを頑張るお子さまとの関わり方について
ぜひ参考にしてくださいね。

オキシトシンという名前を聞いたことがあるでしょうか?
最近、世界中の研究者がオキシトシンに注目した研究をしています。
それは人間にとって非常に良い効果があるからなのです。

 

1.オキシトシンとは

オキシトシンは脳内で作られる物質です。
もともとは妊娠中の女性の体内ではたらく、
ホルモンとしての役割しかわかっていませんでした。
これは陣痛促進剤として使われていて、
これが女性の子宮にある受容体に結合すると、
子宮を収縮させる作用があり、胎児が生み出されるわけです。
ところが最近わかってきたオキシトシンの働きには、
それ以外にも大きく2つの作用があります。

 

2.オキシトシンの効果(1)

1つは「絆ホルモン」とも呼ばれ、
脳内で働くと相手との信頼関係や愛情の関係を深める作用があります。
また、不安や抑うつを低下させ、幸福感を高める効果もあります。

チームで行うスポーツのパフォーマンスを高めるのにもやはり、
オキシトシンが重要な役割を果たしています。
タッチングでオキシトシンが増えることで、
チームメイトの信頼関係が高まったり、
チームメイトが失敗した時に寛大に振る舞うことができ、
共感が高まることから、チームメイトの気持ちと同じ感情がチーム内に広がって、
一体感が高まるからです。

実際に2008年と2009年における、
バスケットボールのNBAの全30チーム(294人)の選手を対象に、
チームメイトとのタッチングと、各々の選手のパフォーマンスや、
チームの成績とのあいだに、どのような関係があるか分析をした研究があります1)
すると、シーズンの前半の2か月でチームメイト同士で、
よくタッチをしているチームの場合、
シーズン後半では選手のパフォーマンスも高く、
チームの成績も良いことがわかりました。

 

3.オキシトシンの効果(2)

もう1つは脳の血液の中に入って全身の臓器に作用する効果です。
特にストレスがあった時に心臓血管系に作用して、
心拍を遅くしたり血圧を下げて、身体をストレスから守ってくれる作用です。
これは身体的にレジリエンスを高めてくれるので、
「折れない心」というよりも「折れない体」あるいは
「回復力のある体」を作ってくれるともいえるのです。

さらに最近の研究では、
老化したラットの筋肉細胞にオキシトシンが作用すると、
細胞を若返らせる効果があることがわかりました2)
ラットの実験では、老化したラットの筋肉細胞に定期的にオキシトシンを晒すと、
筋肉の細胞が即座に回復することがわかったのです。
疲労しにくい筋肉を作るためには、
オキシトシンはプラスに作用する可能性があるのです。

 

4.オキシトシンの増やし方

オキシトシンを分泌させるためには、
スキンシップがもっとも効果があります。
ただし、誰ともスキンシップでも良いわけではなく、
やはり信頼できる親密な人とのスキンシップが大事なのです。
ですから親御さんがしっかりと子どもにコンディショニングのマッサージをしてあげると、
オキシトシンが分泌されて、子どもの心と体にとても良い影響をもたらしてくれるのです。
またボランティア活動のように、
相手のためになることをすることでも分泌されます。
親が子どものスポーツの応援を一生懸命にしたり、
子どもにマッサージをすると親自身にもオキシトシンが大量に分泌されます。
子どもにとっては、チームのために行動したり、
スポーツの準備や後片付けなどを積極的にやるのも良いでしょう。

 

以上、オキシトシンは親にも子どもにもとても良い影響をもたらす物質です。
日々の生活の中で上に紹介したようなことを少し心がけるだけで分泌されるのです。
ぜひ今日からオキシトシンリッチな生活を送ってみましょう。

 

文献

  • Kraus,M.W. et al. Tactile Communication, Cooperation, and Performance:

An Ethological Study of the NBA, Emotion, 2010, 10(5), 745–749

2)Elabd, C. et al. Oxytocin is an age-specific circulating hormone that is necessary for muscle maintenance and regeneration. Nature Communications,5,4082 (2014) doi:10.1038/ncomms5082

子供へのタッチング等の研究の第一人者、桜美林大学教授 山口 創氏の、スポーツのメンタルへの影響についてコラムの連載が始まります。

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山口 創

この記事を書いた人: 山口 創

桜美林大学教授 1967年生まれ。早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。専攻は、健康心理学・身体心理学。聖徳大学人文学部講師を経て、現在は桜美林大学教授。臨床発達心理士。 子どもに触れることの影響や、タッチングの質についての研究の第一人者。2016年よりKJ協会顧問

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