サッカースポーツ外傷 肉離れ

概要

サッカーに多いスポーツ外傷(=外から加わった一度の強い衝撃で発生するもの)の1つとして肉離れがあります。肉離れとは、筋挫傷(=外からの強い衝撃が加わることで筋肉が損傷した状態)とは異なり、自分の筋力が原因で筋肉が部分断裂したり、筋肉と骨とをつなぐ腱が損傷したりした状態のことをいいます。

今回は、この肉離れについて

1.肉離れが発生しやすい筋肉について

2.肉離れの特徴

3.肉離れが起きた時の対処方法

4.アイシングについて

5.アイシングの注意点

6.肉離れの痛みの変化と運動の再開について

7.肉離れが起きる原因と予防法

という7つの項目について書いてみようと思います。

原因

肉離れが発生しやすい筋肉について

 

肉離れが発生しやすい筋肉の1つに太ももの裏にあるハムストリングスという筋肉があります。ハムストリングスは大腿二頭筋(だいたいにとうきん)、半腱様筋(はんけんようきん)、半膜様筋(はんまくようきん)という筋肉の総称で、股関節で大腿の伸展(ふとももを後ろに伸ばす動き)や膝関節で下腿を屈曲(膝から下を曲げる動き)させる動きを担っています。サッカーではこのハムストリングスという筋肉に肉離れが発生しやすく、成長期のサッカー選手ではキック動作時に利き足に発生しやすいという報告があります。

 

肉離れの特徴

肉離れの特徴として、肉離れが起きた時に「ぶちっ」「ばちっ」という断裂音を自身で感じることがあり、多くの場合、痛みを伴います。主な痛みには①伸ばした時の痛み(ストレッチ痛)、②押したときの痛み(圧痛(あっつう))、③力を入れた時の痛みがあり、痛みの度合いは肉離れの重症度によって異なります。筋肉が完全に断裂しているような重症な肉離れでは安静にしていても痛みを感じることがあります。

また、肉離れを起こしている部分に腫れやへこみといった外見上の変化が見られることがあり、内出血を起こしている場合は青くなる症状が見られることもあります。

予防と治療

肉離れが起きた時の対処方法

肉離れが疑われるケガをした場合には、ただちに応急処置を行います。応急処置はRICE(ライス)

(R=Rest(安静)、I=Ice(冷却)、C=Compression(圧迫)、E=Elevation(挙上))が基本で、特に内出血の拡大を防ぐために受傷直後のアイシング(冷却)が重要です。出血が拡大するとケガをした部分以外にも血の塊が増え、血液が体内に吸収されるのに時間がかかります。そのためケガが治るまでの期間が長くなってしまいます。

 

アイシングについて

具体的なアイシングの方法は、アイスバッグやビニール袋などに氷とともに少量の水を入れた後、アイスバックやビニール袋のなかの空気を抜いて袋の口を閉じます(空気が入ったままだとケガをした部分にアイスバッグやビニール袋が密着せずアイシングの効果が低下します)。こうして作成したアイスバッグをケガをした部分に当て、15~20分間冷却したらいったん冷却を中断し、再び痛みが出てきたら再度冷却するといったサイクルを繰り返します。

 

アイシングの注意点

アイシングの注意点としては過剰なアイシングをしないということです。それは血液には血小板という組織を修復する作用を持つ細胞が含まれているからです。

ケガをした部分を冷却しすぎると血液が滞り、ケガをした部分の修復に必要な血小板が不足し、損傷した筋肉の修復が遅れてしまうからです。そのため、一定間隔でアイシングを中断してケガをした部分に血流を戻すことも重要となります。

 

肉離れの痛みの変化と運動の再開について

肉離れは、治っていくにつれて「伸ばしたときの痛み」と「力を入れた時の痛み」がはじめに消えていきます。しかし、ケガをした部分を「押したときの痛み」は最後まで残ることがほとんどです。

運動の再開の目安として、あおむけに寝た状態で肉離れを起こした足を伸ばしたまま上に上げます。このときに肉離れを起こしていない方の足と同じ高さまで足を上げることができ、なおかつ「伸ばした時の痛み」や「力を入れた時の痛み」がなければ、軽いウォーキングや、階段の上り下りなどから始めます。

伸ばした時の痛みがなくなったからといっていきなり運動を再開してしまうと、肉離れを再発する危険性があります。そのため、ウォーキングなどの日常生活動作に不安がなくなってからジョギングなどの軽い運動を行うようにしましょう。スポーツへの復帰はケガをした部分を「押したときの痛み」が完全に消えてからにしましょう。

 

肉離れが起きる原因と予防法

肉離れが起きる原因としては一般的に

  • ウォーミングアップ不足
  • 筋疲労の蓄積
  • ハムストリングスの筋の柔軟性の低下
  • ハムストリングスの筋力のアンバランス
  • ハムストリングスと大腿四頭筋のアンバランス

が関係していると言われており、これらのことから肉離れを防ぐためには、

  • 運動前の適切なウォーミングアップ
  • 筋疲労の軽減
  • ハムストリングスのストレッチ
  • ハムストリングスの内側にある筋と外側にある筋の筋力のバランスを整えること
  • ハムストリングスと大腿四頭筋の筋力のバランスを整えること

が大切だと考えます。

 

参考文献およびURL

1)渡辺正仁:理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のための解剖学,p.273,廣川書店,2009.

2) 池野祐太郎ほか:中学生サッカー選手における身体機能とハムストリングス肉離れの関連性について.体力科学,63(3):343-348,2014

3)Medical Note:https://medicalnote.jp/contents/180305-003-UK

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