サッカースポーツ障害 オスグット・シュラッター病

サッカースポーツ障害 オスグット・シュラッター病

概要

サッカーに多いスポーツ障害(=スポーツによって関節、靭帯、腱、骨などに繰り返し外力が加わることで引き起こされる障害のこと)の1つにオスグット・シュラッター病があります。

オスグット病またはオスグット・シュラッター病(以下オスグット病)とは、小学校から中学生の男子に多い膝のオーバーユース(=使い過ぎ)による成長期のスポーツ障害の代表的なものです。

今回は、このオスグット病について

1.オスグット病とは

2.オスグット病が起きるメカニズム

3.なぜオスグット病は脛骨粗面(けいこつそめん)に起きるのか

4.オスグット病の症状

5.オスグット病と成長痛の違い

6.オスグット病の対処方法

7.アイシングの方法

8.オスグット病にならないために

という8つの項目について書いてみたいと思います。

 

 

1.オスグッド病とは 

 

スポーツを活発に行う成長期の12歳前後の男子によく発症するスポーツ障害で、脛骨粗面(けいこつそめん(=お皿の下の骨))が徐々に出てきて、痛みを生じてくるものをいいます1)

サッカースポーツ障害 オスグット・シュラッター病

成長期のサッカー選手は、キック、ジャンプ、ダッシュなどの動作にともないオスグット病、腰椎分離症、鼠径部痛症候群(そけいぶつうしょうこうぐん)などが発生しやすい2)と報告されています。

 

なかでも特にオスグット病は発生頻度が高く海外では15歳の発生率は17.3%であり、運動をしている男子と、運動をしていない男子を比較した場合、運動をしている男子での発生率は運動をしていない男子の約2倍であったとする報告があります3)

 

原因

2.オスグット病が起きるメカニズム 

 

成長期は急激に身長が増加して、骨も急激に成長する時期です。しかし、腱や筋といった軟部組織(なんぶそしき)は、骨の成長と比較して遅れて成長します4)

そのため、骨の成長に腱や筋の成長が追い付いていかず一時的にからだの柔軟性が低下してしまうという特徴があると言われています。

 

また、オスグット病の痛みの特徴として脛骨粗面(けいこつそめん=お皿の下にある骨の出っ張り)に痛みを感じることが多く、その脛骨粗面には大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)が腱となって付着していることから、オスグット病には大腿四頭筋(だいたいしとうきん)が関係していると考えられています。

 

これらのことからオスグット病が起こるメカニズムとして、成長期では、骨の成長より筋肉の成長が遅いため、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)の柔軟性が低下し、その硬くなった大腿四頭筋(たいだいしとうきん)にジャンプやダッシュ、キック動作などで繰り返し同じ刺激が加わることで膝蓋腱(しつがいけん)を介して脛骨粗面(けいこつそめん)に引っ張る力が加わる5)ことで脛骨粗面(けいこつそめん)が剥離(はくり)※1し、痛みや腫れが起こります。

 

※1:剥離(はくり):はがれることサッカースポーツ障害 オスグット・シュラッター病

 

3.なぜオスグット病は脛骨粗面におこるのか

 

成長期の脛骨粗面(けいこつそめん)には骨が成長するために必要な新しい骨(=骨端核(こったんかく))が存在しています。

この脛骨粗面の骨の成長過程は次のように4段階に分類されています6)

 

  stage 骨の状態 年齢
cartilaginous stage 二次骨化中心(にじこっかちゅうしん)出現前  
apophyseal stage 二次骨化中心が出現 10~11歳
epiphyseal stage 二次骨化中心と脛骨が癒合(ゆごう)し

舌状結節(ぜつじょうけっせつ)を形成

13~15歳
bony stage 骨端線(こったんせん)閉鎖後 18歳

サッカースポーツ障害 オスグット・シュラッター病

 

オスグット病は10~14歳で発生しやすいと言われているスポーツ障害です。

この時期の脛骨粗面(けいこつそめん)の骨の成長過程を見てみるとapophyseal stageの段階であり、この時期の脛骨粗面は力学的に弱いことから脛骨粗面(けいこつそめん)に剥離(はくり)が起きやすいと考えられています。

 

 

4.オスグット病の症状

 

オスグット病は脛骨粗面(けいこつそめん)に付着する大腿四頭筋(だいたいしとうきん)腱が繰り返し脛骨粗面(けいこつそめん)を引っ張ることで、脛骨粗面(けいこつそめん)の骨が剥離(はくり)して痛みや腫れが起きるというスポーツ障害です。

 

そのため症状として

☑脛骨粗面(けいこつそめん)の隆起(りゅうき)

☑隆起(りゅうき)した部分の周辺が腫れている、

熱を持っている、痛みがある

☑運動をすると痛みがあり、運動を休むと痛みがおさまる

といった特徴があります。

 

これらの特徴的な症状に加えて、問診やレントゲン検査、MRI検査、超音波検査などの画像診断で、脛骨粗面(けいこつそめん)に剥離した小さな骨のかけらがないかどうかを確認して診断されます7)

サッカースポーツ障害 オスグット・シュラッター病

 

5.オスグット病と成長痛の違い

 

オスグット病と似たような症状が起きるものに成長痛というものがあります。どちらも、成長期に足の痛みを訴えるという共通点がありますが、異なる点もあります。オスグット病と成長痛の特徴について表にまとめました7)

 

 

 

オスグット病 成長痛
発症年齢 小学校高学年から中学生(10~15歳頃) 幼児から小学校低学年(4~6歳頃)
スポーツ活動の有無 熱心に行っている スポーツ活動の有無に左右されない
原因 膝の使い過ぎ 原因不明
痛む頻度 運動しているときだけ痛い

※症状が進行していると日常生活でも

痛みが出てくる

・不定期に痛みがある

・夕方から夜に痛くなることが多い

・一日中痛みがあるというわけではない

痛む場所 脛骨粗面(けいこつそめん)周囲 足全体

※痛い部分は個人差があり、痛い部分が

変化することがある

レントゲン所見 脛骨粗面(けいこつそめん)の

骨端軟骨(こったんなんこつ)部が剥離

(はくり)している

異常なし

 

予防と治療

6.オスグット病の対処方法

 

歩いたり、階段を上ったり、下りたりするなど日常の動作でも強い痛みのあるときには、痛みのある動作を避けて安静にし、アイシングを行って下さい8)。また、痛みがある場合には、スポーツ活動は休止して早めに専門医のいる病院を受診されることをおすすめします。

 

 

7.アイシングの方法

 

アイスバッグまたはビニール袋に氷を入れます。このときの注意点として、冷凍庫で作った氷の表面温度は冷凍庫内の温度(-18℃以下)まで冷えているため、そのまま使用すると凍傷になるリスクがあります。

氷は0℃になると溶け始める性質があります。凍傷のリスクを避けるために氷:水=10:1の割合で必ず水を入れ、痛みのある場所に密着しやすいように袋の中の空気を抜いてから袋の口を閉じます。

このようにして作成したアイスバッグを痛みのある場所に直接当て、15分間冷やします。このときバンテージがあるとアイスバックを固定できて便利です。

15分冷やしたら、1時間ほど間隔を開けてまた15分冷やします。この15分間冷やすことと1時間の休憩を1セットにして1日2~3セット程度、アイシングを行って下さい。

サッカースポーツ障害 オスグット・シュラッター病

 

8.オスグット病にならないために

 

オスグット病は骨が急激に成長するスピードに対して大腿四頭筋(だいたいしとうきん)の成長スピードが遅いことで柔軟性が低下することに加え、運動時の負荷が繰り返しかかることで起きるスポーツ障害です。

こうしたことからオスグット病を予防するためには大腿四頭筋(だいたいしとうきん)のストレッチを行うことが大切だと考えられています。

大腿四頭筋(だいたいしとうきん)のストレッチの方法は様々な方法がありますが、横向きに寝た状態で大腿四頭筋(だいたいしとうきん)をストレッチすると膝関節の関節可動域が広がったといった報告があります。

また、オスグット病はサッカー選手の軸足に発生することが多い9)ことが分かっており、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)だけでなく、その拮抗筋(きっこうきん)であるハムストリングスのストレッチも併せて行うことで運動時の大腿四頭筋(だいたいしとうきん)への負担を軽減できると考えられています。

サッカースポーツ障害 オスグット・シュラッター病

 

最後になりましたが、この記事がスポーツをがんばっている子どもさんや、それを支える保護者の方にとって少しでもお役に立てる情報となっていればうれしいです。

 

 

参考文献およびURL

1)001.pdf (jossm.or.jp)

2)Suzue N, Matsuura T, Iwame T, et al. Prevalence of childhood and adolescent soccer-related overuse

injuries. J Med Invest.2014,61(3-4):369-73.

3)de Lucena GL, dos Santos Gomes C, Guerra RO. Prevalence and Associated Factors of Osgood-

Schlatter Syndrome in a Population-Based Sample of Brazilian Adolescents. Am J Sports Med.2011,39(2):415-20. 3) Hirano A, Fukubayashi T, Ishii T

4)村田健一朗ほか:成長期アスリートにおける傷害総論.P11-17,日本アスレティックトレーニング学会誌,

4(1),2018

5)オスグッド病 (オスグッド・シュラッター病)|SPORTS MEDICINE LIBRARY|ザムスト(ZAMST)

6)Ogden JA, et al : Osgood-Schlatter lesion. J Bone Joint Surg 1980 : 62(A) : 732-739

7)オスグッド病 | いしがみ整形外科クリニック | 川越市 (ishigami-seikei-cl.com)

8)中瀬順介ほか:Osgood-Schlatter病の病態と予防.P81,関節外科39(2),2020

9)中瀬順介ほか:Osgood-Schlatter病の病態と予防.P80,関節外科39(2),2020

 

図の引用

図1:オスグッド病 – 社会医療法人松田整形外科記念病院 (matsuda-oh.com)

図2:子どもの膝痛 オスグッド・シュラッター病だった時の望ましい対応は | メディカルノート (medicalnote.jp)図3:オスグッド病(成長痛)なら・・・: 淡路島でカイロプラクティック (^o^) (cocolog-nifty.com)

図4:陸上スポーツ障害 – 【公式】みやはた鍼灸整骨院(京都市)開院20年の実績 (miyahata.jp)

図5:カラーシグナルアイスバッグM | フリー | メンズ サポーター・テーピング | ASICS

図6:エラスチックバンテージ | 株式会社ムトーエンタープライズ | MUTOH ENTERPRISES,LTD. (mutoh-ent.co.jp)

図7:横向きにねた姿勢で行うもも前(大腿四頭筋)のストレッチ (nobiru-karada.com)

図8:(2)太ももの裏側に刺激加える : yomiDr./ヨミドクター(読売新聞) (yomiuri.co.jp)

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