テニスに多い外傷(=外から加わった一度の強い衝撃で発生するもの)の1つとしてテニス肘があります。これはテニスでの怪我としては最もポピュラーな怪我の一つで正式には「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)と言います。
これとは別に「内側上顆炎」という怪我も存在します。一般的にはテニス肘と言われることがあるかもしれませんが、今回ご紹介する「外側上顆炎」がテニス肘と呼ばれることが多いと思われます。
今回は、上腕骨外側上顆炎について
1.上腕骨外側上顆炎とは
2.上腕骨外側上顆炎の原因
3.上腕骨外側上顆炎の症状
4.上腕骨外側上顆炎の自己診断方法
5.上腕骨外側上顆炎の対処方法
という5つの項目について書いてみようと思います。
先ほども記述した通り、上腕骨の上顆炎には「内側」と「外側」があります。特に外側を「テニス肘」といい、内側を「ゴルフ肘」と言い換えられることが多いです。
理由は簡単でそれぞれの競技者がそれぞれの怪我を発症しやすいからです。もちろんどちらもテニス肘とも呼ばれます。
特に外側上顆炎とは、テニスをはじめ、バトミントンや卓球といったラケットスポーツを行う人に多くみられる、肘に起こりやすいスポーツ障害の総称でテニスだけが対象ではありません。
外側上顆炎は肘関節の外側にある外側上顆という部分に負担がかかり、炎症が起こることが原因で、バックハンドのときに痛みが発生します。一般的に、外側型のほうが内側型よりも発症率が高く、治りにくい傾向にあります。
図1
テニス肘はまだはっきりとした原因は実はまだ解明されていません。あくまで推測の域を超えませんが、基本的には使いすぎによる原因が主ではないかと言われてます。
テニス肘は長くプレーを続ける人にほど怪我の可能性がたかい怪我です。また、毎日のように部活動を行ってラケットを使う子供たちには若いからと言っても怪我のリスクは十分にあります。
図2
かなり重症ではない限り、競技中以外の日常生活ではほとんど痛みがありません。
ただ、多少重症度が上がった場合には「手首を反らせる」「内外にひねる」「指を伸ばす」いうような手首を使った動作を行った時に肘の外側に痛みが起こるのが大きな特徴です。
日常生活では、「物をつかんで持ち上げる」「ドアノブを回す」「タオルを絞る」「キーボードを打つ」などの動作をしたときに強い痛みを感じます。
症状の現れ方には個人差があり、急に強い痛みが出る場合もありますが、じわじわと痛みが強くなることもあります。
腕は、日頃良く使う部分だけに一度発症するとなかなか治りにくいこともあり、症状が進行してしまうと安静にしていても肘にジンジンとした痛みが続くようになります。
外来で簡単に行える疼痛を誘発する試験で診断します。
以下の3つの検査が一般に用いられています。
いずれの検査でも肘外側から前腕にかけての痛みが誘発されたら、テニス肘と診断します。
1. Thomsenテスト
検者は手首(手関節)を曲げるようにして、患者さんには肘を伸ばしたまま検者の力に抵抗して手首(手関節)を伸ばしてもらう。
2. Chairテスト
患者さんに肘を伸ばしたまま手で椅子を持ち上げてもらう。
3. 中指伸展テスト
検者が中指を上から押さえるのに抵抗して、患者さんに肘を伸ばしたまま中指を伸ばしてもらう。
図3
まずは安静にすることが大切です。テニス肘の場合、基本的には一定以上の休息期間をとることで痛みがなくなり、再びプレーができるようになることが多いです。
また、テニス肘用のバンドなどもありますので、それを利用することで炎症を起こしている箇所をサポートすることができます。
それでも、怪我の状態が一向によくなる気配がない場合には手術による治療も可能です。しかし、手術となると安静にする期間がのびますので、なるべく手術をしない方向での治療を行う方がおすすめです。
また、痛みがある場合でもどうしても試合などでプレーを行いたい場合には痛み止めなど薬を服用することで症状が緩和されます。
最後になりましたが、この記事がスポーツをがんばっている子どもさんや、それを支える保護者の方にとって少しでもお役に立てる情報となっていればうれしいです。
参考文献およびURL
1)痛みWith
図の引用
図1:痛みWith
図2:
アスリートからの応援メッセージ